青春臭

有刺鉄線の練習後、中央線の終電一本前で高円寺下車。祝日の深夜なのに、けっこうたくさんの人が降りる。改札を出たところにいる女の子は、きっと恋人を待っている。

ほとんどの店がシャッターを降ろしている商店街を歩きながら、やっぱり自分は都会が好きなんだなと思った。Jimmy eat worldを聞きながら唐突に思った。

地元にいた時は、常になにか物足りなくて、家に帰るのがいやで、漠然としたフラストレーションみたいなものを常に感じていた。

でもこっちに引っ越してきてからは、そういう感情みたいなのは半分くらいになった。そしてなにより、家に帰るのが楽しくなった。

一人でいても、なんとなく一人じゃない気がする。自分みたいな人がごちゃっと集まって東京が形成されてるはず。

東京らしい街がきっと自分は好きなんだな。生まれ育った地元は好きだし誇りはあるけど、街として魅力を感じなかった。

たとえば、笑笑や和民のメニューなんてどこでも同じだけど、街が街独自の味をつける。高円寺の笑笑の生ビールは、高円寺だけの味がするのだ。都会の酒は基本的に美味しい。

こういった個々の要素をすべて総合すると、都会にあって地元にないもの、それは『青春のにおい』だ。年齢的には明らかに青春時代を過ごしたはずの地元より、20代後半で移住した今の家、今暮らしている街のほうが、ずっと青春的ファクターをにおわせている。

高円寺の夜はいつでも僕を高揚させる。

【有刺鉄線年内ラストライブ】
12.29 渋谷屋根裏
チケ予約やライブ詳細は公式サイト