女にここまで言わせたらたいしたもの

あしたのジョーで、ヒロインの一人が主人公に向かって言うセリフ。
このセリフと、それに対するジョーの返答が、このマンガの全てを表していると言っても過言ではありません。

俺も女にここまで言わせてみたい。
ここまで言わせたらたいしたものです。


「矢吹くんは…さみしくないの?

同じ年ごろの青年が、海に山に恋人とつれだって青春を謳歌しているというのに…
矢吹くんときたら、くる日もくる日も汗とワセリンと松ヤニの臭いがただよう薄暗いジムに閉じこもって縄とびをしたり柔軟体操をしたりシャドー・ボクシングをしたりサンドバッグをたたいたり…。

たまに明るいところへ出るかと思えば、そこはまぶしいほどの照明にてらされたリングという檻の中

煙草の煙がたちこめた試合場で酔っ払ったお客にヤジられ座布団を投げつけられながら闘鶏や闘犬みたいに血だらけになって殴りあうだけの生活…
しかも、体はまだどんどん大きく伸びようとしているのに、体重をおさえるために食べたいものも食べず、飲みたいものも飲まず…。

みじめだわ、悲惨だわ、青春と呼ぶにはあまりにも暗すぎるわ!」