ブラジル戦に未来の日本代表の栄光ロードを見る

2013-06-27

ちょっと時間は空いたけど、この前のブラジル戦、結果だけ見れば大敗だったけど見所が多い試合でした。

これまでは強豪国と戦う場合、ガッチリ引いてブロックを作って守り、隙あらばカウンターで逆襲するという戦法を採用するのは決まって日本でした。
この前のロンドン五輪の男子代表なんかはこの戦法が見事にハマりましたね。

しかしこの前の試合では、ブラジルがまさにキッチリ守ってカウンター、日本は逆にブラジルのプレッシャーを交わしながら、ゆっくりボールをつなぐという、これまでに見られなかった展開が多かったです。



日本がセンターフォワード型の選手を置かず、本田をゼロトップ気味に使った影響もあるでしょうね。



たぶんあの試合で、日本が速攻をしかけた場面ってほとんどなかったんじゃないでしょうか。
カウンターをしなかったのか、できなかったのかは分かりませんが、とにかくほぼ全ての攻撃が遅攻。


サッカーって、速攻のほうが遅攻よりずっとチャンスを作りやすいスポーツなんです、ぶっちゃけ。
この前の試合のブラジルみたいに、相手陣内に近い位置でボールを奪い、そのままスピードアップして一気に敵陣に迫るとチャンスは生まれやすい。
逆に相手が待ち構えているところに攻め込み、チャンスを作るのはむずかしい。

しかしあの日の日本は遅攻ばっかりだったのに、数回決定機を作っています。
これはけっこうすごいと思う。


その原動力となるのは、複数の選手が連動しての細かいパスワーク。
このパスワークで引いている相手からもシュートチャンスを複数回作っているし、中盤や自陣でもあわてずきっちりボールを動かせている場面がたくさんありました。


相手はブラジルですからね、これはきっとすごいことです。
このパスワーク、チーム力をベースに、今回まるでできていなかった速攻をしかける意識、技術と、相手の速攻を未然に防ぐ意識、技術がいいバランスで備われば、今の日本代表はさらに強くなれる、そんな予感がした大敗でした。


あとでこのブログを読み返して、「ほら、あのとき俺が言った通りだろう?」って自慢できる日が来ることを願います。



また同時に、ブラジルの本当の強さが目立った試合でもありましたね。
彼らは、今回日本がやったような細かいパスワークを用いての攻撃も、やろうと思えばぜんぜんできるはず。
しかしながら、日本がそういう攻撃をしてきたのならそれに無理矢理お付き合いせず、ある程度引いて守ってキッチリ無失点完封です。


相手にあわせて複数の戦法を自然に使い分ける強さ、さすがブラジルですよ。
ロンドン五輪の男女サッカーの結果、内容がその好例です。
男子の代表は運動量をベースにした鋭い速攻でスペインを撃破するなど、準決勝まで進出しますがメキシコと韓国に連敗。
敗因はスペインに勝った戦術が、ケガや疲労、相手の対策により機能しなかったにもかかわらず、柔軟にやり方を変えられなかったことです。


それに対し、なでしこはしたたかでした。
本来はボールを動かす攻撃的なサッカーをしたいはずですが、ブラジル戦、フランス戦は我慢のサッカーで勝利。
特にブラジル戦なんか、この前の試合と内容がかぶります。
ボールを保持しどんどん攻めてくるブラジル女子に対し、なでしこは落ち着いて応対。
どちらかといえばボールを持たせる内容で、相手にはさほどシュートチャンスを作らせず、危なげなく勝利しています。
逆に決勝のアメリカ戦では、それまでとはうってかわってボールをどんどん動かすスタイルでアメリカと対等に渡り合いました。
負けはしましたが、大会で一番良い内容のサッカーでした。




そうそう、ブラジル代表の右ウイングで先発していたフッキは、2007年の東京ヴェルディのJ1昇格に多大な貢献をしてくれた思い出深いプレイヤーです。
当時からすでに超人でしたが、その後も超人ロードをひた走り、当たり前のようにセレソンの一員になりましたね。
フッキは当時のチーム首脳と確執もあったようですが、少なくともヴェルディのサポーターは愛してくれました。
昔一緒に戦った仲間が、ブラジル代表で活躍してるのを見るのは、やはりうれしいものです。