ハリルホジッチさんには日本代表の組織力、判断力を高めてもらいたい

日本代表監督が新しい人になり、さっそく試合が近いようですが、ハリルホジッチさんってどんなタイプなんだろう。

ステレオタイプな見方として、日本人選手は技術は欧州や南米に及ばないけど、チームワークでカバーして戦っている…という風にとらえている人は多いと思いますし、マスコミなんかもいまだにこういう意見が多数だと思います。が、僕は逆だと思うんですよね。

日本人サッカー選手の技術や体力の水準は悪くないです。メッシとかクリスチアーノ・ロナウドみたいな化け物と比較しているわけじゃないですよ。サッカー大国アルゼンチンにおいても、メッシは数十年に一度の逸材ですし、クリロナはまちがいなくポルトガル史上最高の選手です。そういった例外的なモンスターではなく、海外のトップリーグでスタメンを張り、各国の代表に呼ばれるような、超がつかないけどほぼ一流くらいのレベルの選手はすでにたくさん出てきています。 もともと日本人は背丈は高くないけど、持久力や俊敏性といったサッカーで必須のスキルには恵まれている選手が多いことは、複数の海外の選手や監督も認めるところ。

僕はむしろ個人的な運動能力ではなく、チームのなかでそのスキルを発揮したり、状況に応じて適切な判断をするサッカー的な思考力といった、戦術遂行力や組織力といった部分が足りていないと思います。 思い返せばW杯ブラジル大会、たしかにコロンビアは強かったけど、コートジボワールには何人か上手い選手がいただけだし、ギリシャなんか腕に日本語の入れ墨をしていた選手くらいしか思い出せません。そして決勝トーナメントに進出したのは、日本に逆転勝ちしたコートジボワールではなく、上手な選手はいなかったけどしぶとくグループリーグを戦ったギリシャです。

あの大会で日本代表はリードしている有利な状況なのに、コートジボワールの攻撃を正面から受け止めてしまい逆転負け。退場者を出したギリシャを圧倒的に押し込みながら、攻めあぐねて勝ち点3を奪えず。技術や体力で負けたというより、サッカーの試合全体で及ばず、ライバルとの2試合で勝ち点1しか奪えなかったため、1強3弱状態のグループリーグを勝ち抜けませんでした。 振り返ってみると、男子の代表は試合巧者とは正反対、試合下手なゲームをこれまで何度も繰り返してきた印象があります。狙った展開にはまれば強豪を倒すこともあるけど、ゲームプランが崩れるとそのままズルズル立て直せない…。

これはもう個人の技術の問題ではなく、チーム全体で共有しているサッカー感とか、ゲームの流れを理解し、その時その時でベターな行動をする判断力に問題があるんだと思う。これまで何度も「勝っているのに、なぜ急ぐ? 焦っている相手にあわせず、もっとダラダラやればいいのに」と思ったことがあります。

だからハリルホジッチさんには、戦術理解力、勝負どころを見極める判断力、チーム全体で作戦を共有するチーム力みたいなものを鍛えていただきたい。

それともうひとつ。 彼が監督をしていたアルジェリア代表が、ブラジル大会で韓国代表を破った試合はとても印象に残っています。とにかくアルジェリアの気合いは画面越しにもガンガン伝わってくるくらいすさまじく、試合開始から気迫あふれるプレーで韓国を攻め続け、4-2で撃破しています。

技術と戦術に気合いがミックスされた、一体感のあるサッカーが見たい。それが僕の願いです。